好きなものをつらつらと書き綴っています。
書人:蓮野 藍
三国恋戦記の孟徳に夢中。
ボカロ(心響)SSも始めました。
バスの到着を待つべく、自宅近くのバス停で佇んでいた。
気まぐれに吹く風に髪を弄ばさせ、まわりを見まわした。
目の前にあるのは、整備させた鼠色の道路とその向こう側に居を構える大木。
大木達は行儀正しく横一列に並び、視界の端まで見える。
この道は紅葉道といって秋になれば鮮やかな緋色が彩り、歩道まで色を染める。
その歩道は見事なもので、この道を歩く時に踏む、舞い落ちた紅葉の葉のサクサクとした軽い音が好きだった。
だが今の季節は赤は一つもなく、若若とした新緑がこの場を彩る。
脈動感が溢れる景色に頬が緩むのを感じながら、ふと耳に届く聞きなれた重い音に視線を横に滑らせる。
バスが来た。
それは目の前に止まり、ドアが開く。
ちらっと中をみて、誰も降りてこないのを確認してから乗車口に足を踏み込めた。
3~4段の階段をのぼりきり、近くの空席に腰を下ろすことにした。
バスの最前列となるここの席は横の景色だけでなく、前の景色も眺める事が出来て、好きな席だった。
バスのドアが閉まり、運転手の掛け声と同時にエンジンがかかる。
ゆっくりと動き出し、徐々に加速していく。
前へ向けていた視線を隣へ向ける。
視界に入ってきたのはガラスに映る己の顔。
そしてその向こう側を彩る鮮やかな景色。
日本人が好む桜の花はもう散ってしまってないけれど、桜の変わりにハナミズキがあり、下へ向ければツツジや芍薬といった花がそこにいた。
嬉しい。
花を見るだけで嬉しい気持ちになり、踊りたくなる心を抑え、静かに移動する景色を楽しんでいた。
いくつかのバス停をすぎ、もうすぐトンネルだと視界を前へ戻りしたその時、気づいた。
一見して何かのゴミだろうと見間違えるそれは、墨をたっぷり含ませた筆に一点の滴を落としたように丸く、黒い。
バスの前方のガラスにあったそれはゴミなのだろうに、なぜか小さい針を無数に伸ばして動かしている。
しかもよく見ていればその黒い点には赤い淵があり、気づいた。
気づいたとたん、笑みがこぼれる。
この季節でなければ見れないだろう、テントウムシ。
赤い淵があるから、きっと七星天道虫だろう。
走っているバスの前方に受ける強い風に負けることなく、手足を動かしながら耐えている。
トンネルを抜けてもそれは変わらず、小さい虫の力強さに心の中で拍手をおくった。
ふと、身体が前に移動するのを感じ、一点の虫から前方の景色へと景色を変える。
三色の信号が赤を示していた。
風が弱まり、一時停止となる。
再度天道虫へと視線を向けたとき、思わず目を見開いた。
逃げるならば今だ!と思ったのだろう。
今まで動かなかった天道虫が、移動し始めたのだ、
その動き、手足の動きは白鳥やアヒルといった鳥が水中で必死に動かしている足のごときすばやさ。
見守る中、その天道虫はバスの上へと移動し、消えた。
感じられた春がなくなり、少し残念に思いつつ運転手へと目を向けてみた。
ハンドルに両手をのせ、その上に上半身をのせて左右を確認している。
そしてもう間もなく信号が変わると知った運転手は、再度エンジンをかけなおし、信号の色が緑になってから点呼をかけ、バスを前へとすすめた。
今しか感じられない
色鮮やかな暖かい
幸せを運んでくる季節
春
『はる』というたった二つの文字に込められた
あまたの幸福
喜び
ただただ、春が恋しくて
ただただ、春が愛しくて
笑みがこぼれる
ーーーーーーーー
春
大好き!
気まぐれに吹く風に髪を弄ばさせ、まわりを見まわした。
目の前にあるのは、整備させた鼠色の道路とその向こう側に居を構える大木。
大木達は行儀正しく横一列に並び、視界の端まで見える。
この道は紅葉道といって秋になれば鮮やかな緋色が彩り、歩道まで色を染める。
その歩道は見事なもので、この道を歩く時に踏む、舞い落ちた紅葉の葉のサクサクとした軽い音が好きだった。
だが今の季節は赤は一つもなく、若若とした新緑がこの場を彩る。
脈動感が溢れる景色に頬が緩むのを感じながら、ふと耳に届く聞きなれた重い音に視線を横に滑らせる。
バスが来た。
それは目の前に止まり、ドアが開く。
ちらっと中をみて、誰も降りてこないのを確認してから乗車口に足を踏み込めた。
3~4段の階段をのぼりきり、近くの空席に腰を下ろすことにした。
バスの最前列となるここの席は横の景色だけでなく、前の景色も眺める事が出来て、好きな席だった。
バスのドアが閉まり、運転手の掛け声と同時にエンジンがかかる。
ゆっくりと動き出し、徐々に加速していく。
前へ向けていた視線を隣へ向ける。
視界に入ってきたのはガラスに映る己の顔。
そしてその向こう側を彩る鮮やかな景色。
日本人が好む桜の花はもう散ってしまってないけれど、桜の変わりにハナミズキがあり、下へ向ければツツジや芍薬といった花がそこにいた。
嬉しい。
花を見るだけで嬉しい気持ちになり、踊りたくなる心を抑え、静かに移動する景色を楽しんでいた。
いくつかのバス停をすぎ、もうすぐトンネルだと視界を前へ戻りしたその時、気づいた。
一見して何かのゴミだろうと見間違えるそれは、墨をたっぷり含ませた筆に一点の滴を落としたように丸く、黒い。
バスの前方のガラスにあったそれはゴミなのだろうに、なぜか小さい針を無数に伸ばして動かしている。
しかもよく見ていればその黒い点には赤い淵があり、気づいた。
気づいたとたん、笑みがこぼれる。
この季節でなければ見れないだろう、テントウムシ。
赤い淵があるから、きっと七星天道虫だろう。
走っているバスの前方に受ける強い風に負けることなく、手足を動かしながら耐えている。
トンネルを抜けてもそれは変わらず、小さい虫の力強さに心の中で拍手をおくった。
ふと、身体が前に移動するのを感じ、一点の虫から前方の景色へと景色を変える。
三色の信号が赤を示していた。
風が弱まり、一時停止となる。
再度天道虫へと視線を向けたとき、思わず目を見開いた。
逃げるならば今だ!と思ったのだろう。
今まで動かなかった天道虫が、移動し始めたのだ、
その動き、手足の動きは白鳥やアヒルといった鳥が水中で必死に動かしている足のごときすばやさ。
見守る中、その天道虫はバスの上へと移動し、消えた。
感じられた春がなくなり、少し残念に思いつつ運転手へと目を向けてみた。
ハンドルに両手をのせ、その上に上半身をのせて左右を確認している。
そしてもう間もなく信号が変わると知った運転手は、再度エンジンをかけなおし、信号の色が緑になってから点呼をかけ、バスを前へとすすめた。
今しか感じられない
色鮮やかな暖かい
幸せを運んでくる季節
春
『はる』というたった二つの文字に込められた
あまたの幸福
喜び
ただただ、春が恋しくて
ただただ、春が愛しくて
笑みがこぼれる
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春
大好き!
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