好きなものをつらつらと書き綴っています。
書人:蓮野 藍
三国恋戦記の孟徳に夢中。
ボカロ(心響)SSも始めました。
それは突如と現れ、それは嵐の如く去っていった。
非日常からの日常への変化。
そんなに時間は経ってないはずなのに、少年は疲労感でいっぱいだった。
思わず脱力したくなるが、とりあえず最悪の事態にはならなかったのでよしとしよう。それに、そばに立つ愛し人に聞きたいことがある。
聞くための行動を男はすぐに実行した。
途端、小さな悲鳴があがる。
「ひゃっ!!ひ、ヒノエくん!?」
顔を赤くして彼との距離をつくる少女。
彼女が感じたのは水気帯びたざらついた感触。
その証拠に彼の口元を塞いでいた掌は濡れており、舐められたのだと判断した。
「いや、いつになったらその愛らしい紅葉手を離してくれるのかなと思ってね」もしかして接吻のほうが良かったかな?と言い出す彼に顔を更に赤くさせる。
先程の様子とは違い、すっかり彼がいつもの調子に戻っていることに少女は気づいていない。
邪魔者がいなくなればそれでいい。邪魔者がいたらいたで徹底的に叩きのめすだけだ。その場合、よくて熊野の海へつき突き落としであり、悪い場合は補堕落渡海おくりである。
これを白き龍がきけば「神子が望めばそれは叶えるよ。私の願いは神子の願いなのだから」と熊野の若頭領の独占欲、そして負けず嫌いの心を煽ることを言うに違いない。
「おや、また顔を赤くしてどうしたんだい?もしかして……想像した?」
「お前が望むなら、今にでも実行するよ?」
だから、おいで?
と艶やかに微笑みかけてくる。
そんな彼の瞳は情熱的な赤。
ら赤といえば火であり、この若い男は八卦において火を司る離。
離は火を象徴の一つとし、他に美麗がある。
その言葉通り美麗とは美しく艶やかな、という意味であり、みる人を引きつけ時として惑わす。
危うく彼の流れに飲み込まれそうになるのを必死に抗い「大丈夫だよ…」と弱々しく言いながら半歩下がれば一気に彼との距離をつめられる。
やんわりと腰に腕を回して抱き寄せられ、顎に指を添えられる。そのまま上に顔を向けられると視界いっぱいに広がる赤。
燃えるような瞳に見つめられ、少女は動けなくなった。
見つめられるまま見つめ返すこと数秒。たった数秒が長時間のごとく感じる時間。何もお互い語り合わないまま時がすぎた。
誰に言われる事なく、男は顔を徐々に近づけてきた。少しずつ彼の顔が、燃える瞳が大きくなっていき、視界いっぱいに彼の顔があり、背景が見えなくなる。
何が起ころうとしているのか、もうわかる。お互いの唇が触れ合うまであと少し。
瞳を閉じようと瞼を閉じ始めた。瞼が半分とじた時、
「で?」
彼は話しかけてきた。
閉じかけた瞼を少女が再度開いた時、夫の顔が予想していたより遥か近かった為に目を見開く。
2つの唇の距離は僅か数センチ。
「白龍から神子への神言は何だったんだい?」
彼の吐息が少女の唇にかかる。少し唇を動かすだけで触れ合いそうになるそどの距離の近さに話そうにも話せなくなる。
「オレには話せないこと?」
至近距離で見つめる視線は強い。嘘をつくことも、絡み合った視線をそらすことすら許さないといわんばかりのその視線は少女の心を縛り付ける。
「オレは海賊であり、熊野の頭領だ。欲しいものは絶対手に入れるし、欲しいものを逃したことはない。お前の天の羽衣を、翼も奪って地上に留めさせているのはお前が欲しいと、お前をオレの伴侶にと思ったからだ。それはわかるね?」
強く、熱い瞳に見つめられ、妻は小さく頷いた。途端に、視線は少しだけだか柔らかくなる。甘みを含んだそれに少女は頬を染めて見つめる。
彼に問われた白龍の言葉すら頭から離れてしまう。
魅入るとは、こういうことをいうのだろうか。
「可愛いね」
「え?」
目を瞬いて彼を見つめる。
甘くてどこか切ない瞳だった。
「可愛くて仕方ない。ずっとオレという檻の中に閉じ込めて、野郎どもは勿論、神すら触れさせないようにしたいくらいだ。だけど……」
「はい、そこまでにしましょうか。別当殿」
馴染みの声が聞こえると共に、とても固いものが当たった音が少女の耳に届いた。
何が起こったのかわからず、状況把握をしようと瞬きをすると、目の前にはあるのは
少し体をかがめて頭を片手でおさえる夫と、打ったらしい彼の叔父が鞘におさまったままの刀を手に、甥っ子の頭があったあたりで構えたまま止まっているの図。
「ヒノエくん!弁慶さん!?」
「お久しぶりですね。甥っ子が変に盛ってて申し訳ありません」
「さか??」
「おい、オレの嫁に触れんじゃねえよ」
突然の乱入者に睨みをきかせ、妻を抱き寄せて距離をとる夫。燃えるように赤い目には若干の潤みがある。
相当痛かったらしい。
「僕の気配に気付かないなんて、頭領として問題があるんじゃないですか?」
「お前が気配をわざと消してたんだろうがっ」
「だから、ですよ。常に別当の身のまわりには烏がいるとはいえ、いざという時自分の身を守るのは自分だけしかいないのですから、しっかりなさい」
甥のことを思っての叔父からの説教はそこで終わり、神子への視線はどこまでも柔らかく優しい笑みで話かける。
「こんな頼りない熊野別当ですが、これからも宜しくお願いしますね?」
「勿論です。それに、いつもヒノエくんにはよくしてもらってます」
「貴女にはよくしていても、貴女の身の変化に気付かなければどうしようもありませんよ」
「おい、それはどういう……」
「白龍がきたとのことですが、身体は大丈夫ですか?」
甥の言葉を遮り、男は話を続ける。
「はい、大丈夫ですよ」
「女房から聞いた話ですが、最近食が進まず、果物なら食べるとのこと。これは本当ですね?」
確認してくる彼の言葉に胸が高鳴った。そして蘇る白龍からの言葉。
「はい、本当です」
「そうですか。そういうことを白龍から言われたんですね?」
最後の問いだと分かった。
顔を赤くして黙って頷く。
それを見届けて年上の男は甥に告げた。
「ということだそうですよ、ヒノエ。そしておめでとうございます。この甥っ子より先にお祝いの言葉を言えたこと、嬉しく思います」
「弁慶さんったら」
「僕は先に戻りますが、兄が貴女が来ないと駄々をこねる前にきて下さいね」
「私も今行きます」
「いえ、貴女にはその前にやってもらうことがありますから」
彼の視線の先をおうと、そこには明らかに微動だせずに固まっている赤き頭領。
「わかりました」
「ではお願いしますよ」
先に出たかつての仲間を見送り、少女は向き合う。
「ヒノエくん、あのね?」
熊野の頭領が硬直からなおるまで、あと数秒。
あとがき
すみません!!個人的に完全燃焼出来ずに不完全燃焼となってます><
とりあえず、弁慶のヒノエの頭にゴン!はやりたかったので満足なのですが、もう少し後半はなんとか出来たかも。と思います。
2話くらいで終わらせる気満々だったヒノ誕2012ですが、五話で無事終わらせることができました。
皆様、本当に有難うございますm(__)m
非日常からの日常への変化。
そんなに時間は経ってないはずなのに、少年は疲労感でいっぱいだった。
思わず脱力したくなるが、とりあえず最悪の事態にはならなかったのでよしとしよう。それに、そばに立つ愛し人に聞きたいことがある。
聞くための行動を男はすぐに実行した。
途端、小さな悲鳴があがる。
「ひゃっ!!ひ、ヒノエくん!?」
顔を赤くして彼との距離をつくる少女。
彼女が感じたのは水気帯びたざらついた感触。
その証拠に彼の口元を塞いでいた掌は濡れており、舐められたのだと判断した。
「いや、いつになったらその愛らしい紅葉手を離してくれるのかなと思ってね」もしかして接吻のほうが良かったかな?と言い出す彼に顔を更に赤くさせる。
先程の様子とは違い、すっかり彼がいつもの調子に戻っていることに少女は気づいていない。
邪魔者がいなくなればそれでいい。邪魔者がいたらいたで徹底的に叩きのめすだけだ。その場合、よくて熊野の海へつき突き落としであり、悪い場合は補堕落渡海おくりである。
これを白き龍がきけば「神子が望めばそれは叶えるよ。私の願いは神子の願いなのだから」と熊野の若頭領の独占欲、そして負けず嫌いの心を煽ることを言うに違いない。
「おや、また顔を赤くしてどうしたんだい?もしかして……想像した?」
「お前が望むなら、今にでも実行するよ?」
だから、おいで?
と艶やかに微笑みかけてくる。
そんな彼の瞳は情熱的な赤。
ら赤といえば火であり、この若い男は八卦において火を司る離。
離は火を象徴の一つとし、他に美麗がある。
その言葉通り美麗とは美しく艶やかな、という意味であり、みる人を引きつけ時として惑わす。
危うく彼の流れに飲み込まれそうになるのを必死に抗い「大丈夫だよ…」と弱々しく言いながら半歩下がれば一気に彼との距離をつめられる。
やんわりと腰に腕を回して抱き寄せられ、顎に指を添えられる。そのまま上に顔を向けられると視界いっぱいに広がる赤。
燃えるような瞳に見つめられ、少女は動けなくなった。
見つめられるまま見つめ返すこと数秒。たった数秒が長時間のごとく感じる時間。何もお互い語り合わないまま時がすぎた。
誰に言われる事なく、男は顔を徐々に近づけてきた。少しずつ彼の顔が、燃える瞳が大きくなっていき、視界いっぱいに彼の顔があり、背景が見えなくなる。
何が起ころうとしているのか、もうわかる。お互いの唇が触れ合うまであと少し。
瞳を閉じようと瞼を閉じ始めた。瞼が半分とじた時、
「で?」
彼は話しかけてきた。
閉じかけた瞼を少女が再度開いた時、夫の顔が予想していたより遥か近かった為に目を見開く。
2つの唇の距離は僅か数センチ。
「白龍から神子への神言は何だったんだい?」
彼の吐息が少女の唇にかかる。少し唇を動かすだけで触れ合いそうになるそどの距離の近さに話そうにも話せなくなる。
「オレには話せないこと?」
至近距離で見つめる視線は強い。嘘をつくことも、絡み合った視線をそらすことすら許さないといわんばかりのその視線は少女の心を縛り付ける。
「オレは海賊であり、熊野の頭領だ。欲しいものは絶対手に入れるし、欲しいものを逃したことはない。お前の天の羽衣を、翼も奪って地上に留めさせているのはお前が欲しいと、お前をオレの伴侶にと思ったからだ。それはわかるね?」
強く、熱い瞳に見つめられ、妻は小さく頷いた。途端に、視線は少しだけだか柔らかくなる。甘みを含んだそれに少女は頬を染めて見つめる。
彼に問われた白龍の言葉すら頭から離れてしまう。
魅入るとは、こういうことをいうのだろうか。
「可愛いね」
「え?」
目を瞬いて彼を見つめる。
甘くてどこか切ない瞳だった。
「可愛くて仕方ない。ずっとオレという檻の中に閉じ込めて、野郎どもは勿論、神すら触れさせないようにしたいくらいだ。だけど……」
「はい、そこまでにしましょうか。別当殿」
馴染みの声が聞こえると共に、とても固いものが当たった音が少女の耳に届いた。
何が起こったのかわからず、状況把握をしようと瞬きをすると、目の前にはあるのは
少し体をかがめて頭を片手でおさえる夫と、打ったらしい彼の叔父が鞘におさまったままの刀を手に、甥っ子の頭があったあたりで構えたまま止まっているの図。
「ヒノエくん!弁慶さん!?」
「お久しぶりですね。甥っ子が変に盛ってて申し訳ありません」
「さか??」
「おい、オレの嫁に触れんじゃねえよ」
突然の乱入者に睨みをきかせ、妻を抱き寄せて距離をとる夫。燃えるように赤い目には若干の潤みがある。
相当痛かったらしい。
「僕の気配に気付かないなんて、頭領として問題があるんじゃないですか?」
「お前が気配をわざと消してたんだろうがっ」
「だから、ですよ。常に別当の身のまわりには烏がいるとはいえ、いざという時自分の身を守るのは自分だけしかいないのですから、しっかりなさい」
甥のことを思っての叔父からの説教はそこで終わり、神子への視線はどこまでも柔らかく優しい笑みで話かける。
「こんな頼りない熊野別当ですが、これからも宜しくお願いしますね?」
「勿論です。それに、いつもヒノエくんにはよくしてもらってます」
「貴女にはよくしていても、貴女の身の変化に気付かなければどうしようもありませんよ」
「おい、それはどういう……」
「白龍がきたとのことですが、身体は大丈夫ですか?」
甥の言葉を遮り、男は話を続ける。
「はい、大丈夫ですよ」
「女房から聞いた話ですが、最近食が進まず、果物なら食べるとのこと。これは本当ですね?」
確認してくる彼の言葉に胸が高鳴った。そして蘇る白龍からの言葉。
「はい、本当です」
「そうですか。そういうことを白龍から言われたんですね?」
最後の問いだと分かった。
顔を赤くして黙って頷く。
それを見届けて年上の男は甥に告げた。
「ということだそうですよ、ヒノエ。そしておめでとうございます。この甥っ子より先にお祝いの言葉を言えたこと、嬉しく思います」
「弁慶さんったら」
「僕は先に戻りますが、兄が貴女が来ないと駄々をこねる前にきて下さいね」
「私も今行きます」
「いえ、貴女にはその前にやってもらうことがありますから」
彼の視線の先をおうと、そこには明らかに微動だせずに固まっている赤き頭領。
「わかりました」
「ではお願いしますよ」
先に出たかつての仲間を見送り、少女は向き合う。
「ヒノエくん、あのね?」
熊野の頭領が硬直からなおるまで、あと数秒。
あとがき
すみません!!個人的に完全燃焼出来ずに不完全燃焼となってます><
とりあえず、弁慶のヒノエの頭にゴン!はやりたかったので満足なのですが、もう少し後半はなんとか出来たかも。と思います。
2話くらいで終わらせる気満々だったヒノ誕2012ですが、五話で無事終わらせることができました。
皆様、本当に有難うございますm(__)m
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