好きなものをつらつらと書き綴っています。
書人:蓮野 藍
三国恋戦記の孟徳に夢中。
ボカロ(心響)SSも始めました。
薄桜鬼の突発小説を更新しようと思います。
因みに鬼副長×千鶴ちゃん。
とりあえずED後として書いています。
それでも いいよ! とおっしゃる方、読んでください……!!
そして拍手いただきました><
有難うございます!!
因みに鬼副長×千鶴ちゃん。
とりあえずED後として書いています。
それでも いいよ! とおっしゃる方、読んでください……!!
そして拍手いただきました><
有難うございます!!
男は悩んでいた。
眉間に皺をつくり、美男子と言われる彼の顔が変わっている。真剣そのものの顔はかつて鬼の副長と呼ばれ、恐れられていた時のものと重なるものがある。
大変だと思っていた事柄は全て終わり、最近始めた仕事も慣れてきた。
今日は特に仕革がない日であったので久々に文机と向き合って座り、目の前にあるものを凝視。
それは紙であり、何も書かれていない、雪のように真っ白で折り目一つない新品。
紙は何もいうことなく、ただ書き手により汚されるのを待つ。そうするものの、当の本人は紙を見つめたまま時折墨汁で満たされた硯に筆を黒く染め、何か書こうとするが書かず、そのまま筆を定位置に戻して唸る。紙を見つめ直す。そして再度筆を手にするものの戻し……。その繰り返しである。
何回それを繰り返していただろう。
男の耳に聞き慣れた音が聞こえ、徐々に近づいてくる。
男がいる部屋の前で一回止まり、声をかけてから入ってきた。
「歳三さん、お茶が入りました」
「おう」
優しい声と共に入ってきた人は一人の女性。手のお盆に乗せている2個の湯のみから白い湯気を立ち上らせていた。少女と呼んでいいかもしれない女性は、男のそばに座って手慣れた様子で茶托を乗せてから湯のみを渡す。
「近所の方から羊羹をいただきました」
「そうか。それは勿論俺の分もあるだろうな?」
一人占めにするなよ?と意味を含めて意地悪そうに笑うと、彼女は顔を赤くして「歳三さんの分もちゃんとありますから!」抗議してきた。
「そいつは良かった。安心したぜ」
「私、そんなに食い意地はってませんっ」
ぷぅっと頬を膨らませ、顔を反らす。
普段はとても大人しいのに、こういう時はやたらと子供っぽく見える。
こうと決めたら絶対といっていいくらいに曲げない、折れない彼女がたまらなく可愛くて愛しい。
あまりの可愛らしさに思わず笑い出したくなるのを必死で抑え込み、宥めようと声をかける。
「悪かったよ千鶴、今のは冗談だから許してくれ」
「いくら歳三さんでも、言っていい冗談と悪い冗談があります」
「わかってるって。だから今こうして謝ってるだろ?俺の分の羊羹もやるから」
「歳三さんの分のお菓子が欲しいんじゃありません」
顔を背けたまま話す姿は彼女が本気で怒っている証拠。
「千鶴」
「知りません」
「……」
「……」
そっと男はため息をつきたくなった。
彼女の怒りをとくのは難しい。
特に彼女が江戸育ちだから尚更だ。
江戸の女は気が強い。
ふと視線をそらして目に入ってきたのは先程から文机の上で鎮座している白紙。
白い雪で敷き詰められた紙には何も書かれていない。
男は筆をとった。
流れるままに筆を動かす。
真っ白の紙に墨でさらさらと汚していく。
書き終わり、生乾きの和紙をそのまま彼女へ差し出した。
「これでもか?」
「……?」
ようやく振り向いた少女がきょとんとして手渡された紙を。
咲いて欲し
その花は千鶴
俺の嫁
意味はそのままの意味。
深い意味はない。
彼女の怒りをなんとかしたいが為に筆を走らせただけのもの。
当の本人はどうかというと
顔を赤くしていた。
耳まで赤くして書いた文字を食い入るように見ている。
良いのか悪いのかわからないが、どこか恥ずかしい気持ちになる。
「花は花でも赤い花が咲いたな、千鶴」
年下の仲間におちょくられるものでしかなったのが、見られている。
17個の文字の羅列のどこが彼女の心の琴線に触れたのか全くわからない。
今更ながら書いた本人が恥ずかしくなっているのを彼女に知られたくなくて、男は気まずそうにそっぽを向いた。
外では鳥が鳴いている。
終わってしまえ……
いつもいつも、気付いたら長文になってます^^;
眉間に皺をつくり、美男子と言われる彼の顔が変わっている。真剣そのものの顔はかつて鬼の副長と呼ばれ、恐れられていた時のものと重なるものがある。
大変だと思っていた事柄は全て終わり、最近始めた仕事も慣れてきた。
今日は特に仕革がない日であったので久々に文机と向き合って座り、目の前にあるものを凝視。
それは紙であり、何も書かれていない、雪のように真っ白で折り目一つない新品。
紙は何もいうことなく、ただ書き手により汚されるのを待つ。そうするものの、当の本人は紙を見つめたまま時折墨汁で満たされた硯に筆を黒く染め、何か書こうとするが書かず、そのまま筆を定位置に戻して唸る。紙を見つめ直す。そして再度筆を手にするものの戻し……。その繰り返しである。
何回それを繰り返していただろう。
男の耳に聞き慣れた音が聞こえ、徐々に近づいてくる。
男がいる部屋の前で一回止まり、声をかけてから入ってきた。
「歳三さん、お茶が入りました」
「おう」
優しい声と共に入ってきた人は一人の女性。手のお盆に乗せている2個の湯のみから白い湯気を立ち上らせていた。少女と呼んでいいかもしれない女性は、男のそばに座って手慣れた様子で茶托を乗せてから湯のみを渡す。
「近所の方から羊羹をいただきました」
「そうか。それは勿論俺の分もあるだろうな?」
一人占めにするなよ?と意味を含めて意地悪そうに笑うと、彼女は顔を赤くして「歳三さんの分もちゃんとありますから!」抗議してきた。
「そいつは良かった。安心したぜ」
「私、そんなに食い意地はってませんっ」
ぷぅっと頬を膨らませ、顔を反らす。
普段はとても大人しいのに、こういう時はやたらと子供っぽく見える。
こうと決めたら絶対といっていいくらいに曲げない、折れない彼女がたまらなく可愛くて愛しい。
あまりの可愛らしさに思わず笑い出したくなるのを必死で抑え込み、宥めようと声をかける。
「悪かったよ千鶴、今のは冗談だから許してくれ」
「いくら歳三さんでも、言っていい冗談と悪い冗談があります」
「わかってるって。だから今こうして謝ってるだろ?俺の分の羊羹もやるから」
「歳三さんの分のお菓子が欲しいんじゃありません」
顔を背けたまま話す姿は彼女が本気で怒っている証拠。
「千鶴」
「知りません」
「……」
「……」
そっと男はため息をつきたくなった。
彼女の怒りをとくのは難しい。
特に彼女が江戸育ちだから尚更だ。
江戸の女は気が強い。
ふと視線をそらして目に入ってきたのは先程から文机の上で鎮座している白紙。
白い雪で敷き詰められた紙には何も書かれていない。
男は筆をとった。
流れるままに筆を動かす。
真っ白の紙に墨でさらさらと汚していく。
書き終わり、生乾きの和紙をそのまま彼女へ差し出した。
「これでもか?」
「……?」
ようやく振り向いた少女がきょとんとして手渡された紙を。
咲いて欲し
その花は千鶴
俺の嫁
意味はそのままの意味。
深い意味はない。
彼女の怒りをなんとかしたいが為に筆を走らせただけのもの。
当の本人はどうかというと
顔を赤くしていた。
耳まで赤くして書いた文字を食い入るように見ている。
良いのか悪いのかわからないが、どこか恥ずかしい気持ちになる。
「花は花でも赤い花が咲いたな、千鶴」
年下の仲間におちょくられるものでしかなったのが、見られている。
17個の文字の羅列のどこが彼女の心の琴線に触れたのか全くわからない。
今更ながら書いた本人が恥ずかしくなっているのを彼女に知られたくなくて、男は気まずそうにそっぽを向いた。
外では鳥が鳴いている。
終わってしまえ……
いつもいつも、気付いたら長文になってます^^;
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