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好きなものをつらつらと書き綴っています。 書人:蓮野 藍         三国恋戦記の孟徳に夢中。  ボカロ(心響)SSも始めました。
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前回更新した話。
ヒノエ家族SS(←クリックでその記事にとべます。)

の続編だったりします。
今度はヒノエがひと言もしゃべってません。
ヒノエの妻の言葉使いが、望美ちゃんより若干、丁寧になっています。
でも妻は望美ちゃんでも大丈夫なようになっています。

それでもいいと仰る神子姫様。

どうぞ下へ進んで下さい。


2012年5月25日 修正加えました




拍手[2回]


二人分の瞳がじっと一人を見つめている。
ずっと凝視されているのにも関わらず、その一人は気付いていない。
目を閉じたまま、静かに呼吸を繰り返すだけ。

見つめていた片割れが、そばにいた女性を見上げた。
十にも満ちていない幼子の癖のある赤い髪がふわりと揺れる。
「とうさま、おひるね?」
子供特有の大きな瞳で問うてきた。
「そうね、お仕事で疲れちゃったんでしょうね」
なぜ夫がここで座りながら寝ているのかわからないけれど。という言葉は心の中で留めて、穏やかに笑いかけた。
子供を寝付かせるつもりが思わず自分も寝てしまい、気付いたら子供に揺り起こされた。
気付いたらそばで数年連れ添う夫が私の部屋にいて、胡坐に頬杖をついて眠りこけていた。
というのが現状。
聞いてみたくても彼の鮮やかな炎のように赤い瞳が閉じられている今、聞くことが出来ない。


「じゃあ、あそんでくれないの?」
不満そうに眉間に皺を寄せてくる息子に女性は頭をなでた。
「残念ながら、そうね。父様がお昼寝中だから、遊んでもらえないわ」
納得いかないのか、頭を撫でてくる母と寝ている父を交互に見上げる。
「どうしても?」
「どうしても、だから父様に遊んでもらうのは今度ね?」
「こんどって、いつ?かあさま、あした?」
「さあ、それは母様にも父様にもわからないわ」
「かあさまが″みこひめさま″で、とうさまが″べっとう″でも?」
途端、吹き出したくなる心地になる。
子供がまさか″みこひめさま″と、かつて夫である彼が自分のことを呼んでいた言葉を言うとは思わなかった
きっと夫が子供と遊んでいる時に話したに違いない。
かつて、源平で世が乱れていた時の話を。

「それでも。だから父様はこのまま寝かせてあげてね」
「えー……」
「寝ている時に、起こされたらいやでしょう?」
「……はーい」

といいつつ、まだ不満なのだろう。御簾のそばで体を丸くしていた白猫を抱きあげる。
驚きに毛を逆立てて抗議する鳴き声を動じずに、子供はそのまま父のそばで横になって膝に頭を乗せた。自分より体が小さい飼い猫を抱きしめ、頬を膨らませている。
せっかく遊んでもらえるかと思いきやそれが出来ず、拗ねたのかもしれない。
不貞寝だ。

「そんなに寝ていたら、夜寝られなくなるわよ?」
「とうさまがあそんでくれないなら、それでもいい」

その拗ねかた、言い方がなんとなく頬を膨らませる以外は夫が拗ねた時と似ている気がして、思わず小さな笑みをこぼした。
昼下がりの一時。
空は晴れていて、日差しがあたたかい。














終わりでいいよね
気付いたら続編つくってました。
今回はヒノエは寝ている為、一言もしゃべってません。
そして、子供に親をどう呼ばせるか考えた時、ててさま かかさま より、とうさま かあさま のほうが可愛い気がして、そうしました。
因みに、飼い猫の名前は白いから「しろ」です。そのままの名前です。
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