好きなものをつらつらと書き綴っています。
書人:蓮野 藍
三国恋戦記の孟徳に夢中。
ボカロ(心響)SSも始めました。
夫は仕事で外出。
さみしいけれど、仕方ないこと。
サワサワと緑が音立てる季節の昼下がり。
ゆっくりしていると、トタトタと少し早めの足音を立ててこちらにやってくる客人。
その足音から幼く愛らしい客人だと部屋にいた女性達はわかった。
女主が女房と目を交わし、微笑みあう。
「今日は何用でしょう」
「さあ。本人から教えてくれないとわからないわね。何か新しいことをみつけたのかも」
先日は見たことがない花をみつけたのだと持ってきて見せてくれた。
先先日は祖父の湛快と遊んだのだと報告してくれて、
日々楽しそうに話す子が愛らしくて仕方ない。
今日は何を教えてくれるのだろうと身構えた。
幼き来訪者は部屋の前まで来ている。
「かあさま、今いい??」
「ええ。入ってきなさい」
「失礼します。かあさま」
部屋に入ってきたのは小さな子供。紅い髪は夫の髪に似て、大き目の瞳は彼が幼き頃の瞳なのだろうかと勝手に母、望美は思っている。
いつもならば目をキラキラさせて色々とこちらから話さなくても話してくれるのに、今日はいつもと違う子の様子に首をかしげた。
いつもと違うのは、子の腕に抱えられているそれ。
「かあさま、このこケガしてるの。ケガのお薬ある?」
「勿論あるわ。……すぐに手当ての用意を」
「承知いたしました」
熊野頭領の奥方の言葉に従い、世話役の女房はすぐさま行動に移した。
女房が部屋を出ていくのを見送り、女性は子の腕の中で大人しくしているそれをみつめた。
全体的に黒く、とがった黒のくちばし。紅い瞳。
一羽のカラスにしか見えない。
「そのこ、どうしたの?」
「たまに来て、あそんでくれるんだけど、今日来たらケガしてたんだ」
「『たまに来て、遊んでくれる』の?」
「うん。一人のときにくるよ」ね~?とカラスに声をかけると、子供の言葉がわかるのか「カー」と一声鳴いた。
それに驚いてしまったが、流石カラスというべきか。
カラスは賢いと現代にいた時からニュースでやっていた。だから子供の言葉もわかるのだろうと理解することにする。
子が嘘をついているようにはみえず、とりあえず話を変えてみた。
「そう。……ところで、どこに怪我をしているの?」
「まん中のあし」
「……え?」
「だから、まん中のあしだよ。三本あるあしの」
母の反応に焦れたように子が発言する。
「鳥の足は普通二本よ?」
「うそだ。このこのあし、ちゃんと三本あるよ?」
と嫌がるカラスの足を子が見せるのを女性は食い入るようにみつめる。
1本。2本。……3…本。
確かにどう数えても、そのカラスは三本脚あった。
三本脚のカラス。
熊野の地において神の使いとされるのがヤタガラスと呼ばれている三本脚のカラスだ。
神鳥とされる鳥が、なぜ子供の腕の中にいるのだろう。
理由がわからず、熊野頭領の奥方の頭はしばらく真っ白になった。
その後、熊野全体を巻き込んで大騒ぎになったのは当然の話。
中途半端だけど終わりだよ~
結論からいうと、いくら神の使いだからといっても、神の使いだって遊びたい時があるんだ!!という考えから、ヤタガラスは用事もないのに神職の子供であるヒノエ夫婦の子のところにやってきて遊んでいた。という話です。
ヤタガラス、大好きなので出せて嬉しいです(笑)
さみしいけれど、仕方ないこと。
サワサワと緑が音立てる季節の昼下がり。
ゆっくりしていると、トタトタと少し早めの足音を立ててこちらにやってくる客人。
その足音から幼く愛らしい客人だと部屋にいた女性達はわかった。
女主が女房と目を交わし、微笑みあう。
「今日は何用でしょう」
「さあ。本人から教えてくれないとわからないわね。何か新しいことをみつけたのかも」
先日は見たことがない花をみつけたのだと持ってきて見せてくれた。
先先日は祖父の湛快と遊んだのだと報告してくれて、
日々楽しそうに話す子が愛らしくて仕方ない。
今日は何を教えてくれるのだろうと身構えた。
幼き来訪者は部屋の前まで来ている。
「かあさま、今いい??」
「ええ。入ってきなさい」
「失礼します。かあさま」
部屋に入ってきたのは小さな子供。紅い髪は夫の髪に似て、大き目の瞳は彼が幼き頃の瞳なのだろうかと勝手に母、望美は思っている。
いつもならば目をキラキラさせて色々とこちらから話さなくても話してくれるのに、今日はいつもと違う子の様子に首をかしげた。
いつもと違うのは、子の腕に抱えられているそれ。
「かあさま、このこケガしてるの。ケガのお薬ある?」
「勿論あるわ。……すぐに手当ての用意を」
「承知いたしました」
熊野頭領の奥方の言葉に従い、世話役の女房はすぐさま行動に移した。
女房が部屋を出ていくのを見送り、女性は子の腕の中で大人しくしているそれをみつめた。
全体的に黒く、とがった黒のくちばし。紅い瞳。
一羽のカラスにしか見えない。
「そのこ、どうしたの?」
「たまに来て、あそんでくれるんだけど、今日来たらケガしてたんだ」
「『たまに来て、遊んでくれる』の?」
「うん。一人のときにくるよ」ね~?とカラスに声をかけると、子供の言葉がわかるのか「カー」と一声鳴いた。
それに驚いてしまったが、流石カラスというべきか。
カラスは賢いと現代にいた時からニュースでやっていた。だから子供の言葉もわかるのだろうと理解することにする。
子が嘘をついているようにはみえず、とりあえず話を変えてみた。
「そう。……ところで、どこに怪我をしているの?」
「まん中のあし」
「……え?」
「だから、まん中のあしだよ。三本あるあしの」
母の反応に焦れたように子が発言する。
「鳥の足は普通二本よ?」
「うそだ。このこのあし、ちゃんと三本あるよ?」
と嫌がるカラスの足を子が見せるのを女性は食い入るようにみつめる。
1本。2本。……3…本。
確かにどう数えても、そのカラスは三本脚あった。
三本脚のカラス。
熊野の地において神の使いとされるのがヤタガラスと呼ばれている三本脚のカラスだ。
神鳥とされる鳥が、なぜ子供の腕の中にいるのだろう。
理由がわからず、熊野頭領の奥方の頭はしばらく真っ白になった。
その後、熊野全体を巻き込んで大騒ぎになったのは当然の話。
中途半端だけど終わりだよ~
結論からいうと、いくら神の使いだからといっても、神の使いだって遊びたい時があるんだ!!という考えから、ヤタガラスは用事もないのに神職の子供であるヒノエ夫婦の子のところにやってきて遊んでいた。という話です。
ヤタガラス、大好きなので出せて嬉しいです(笑)
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