好きなものをつらつらと書き綴っています。
書人:蓮野 藍
三国恋戦記の孟徳に夢中。
ボカロ(心響)SSも始めました。
「今日も疲れたぜ」
「いつもお疲れ様」
二人の間に言葉がゆるやかにやりとりされる。
一日の仕事を終え、夕飯を食べた後の時間。
少しでもゆっくりしようと横になる青年とお茶を用意する少女。
京や熊野から遥か離れた場所にある南の島は年中熱く、日中は耐え難いものだが、住む住人は皆穏やかで、ゆっくりとした時間が流れている。
それは源平の戦を経験した者にとって心身の癒しとなり、安らぎとなる。
南の島での生活にだいぶ慣れてきた今日、少女にとって、青年にとっても特別な日。
「ね、将臣くん」
「ん?」
両手を組んで頭の後ろに置いて枕代わりとし、目を閉じたまま返事をしてくる彼は少女の幼馴染。ずっと一緒に育ってきたからか、色々と少女の扱いが上手い。
「今日が何の日か、知ってる?」
「わからん」
「……ちゃんと考えて答えた?」
幼馴染の即答に眉をかるく寄せる。
「考えてもわからなそうだからな、だからわからんものはわからん」
「まったく将臣くんは。今日は将臣くんの誕生日だよ」
「もうそんな日なのか」
ここにきてようやく幼馴染の瞳が開いた。
海よりも蒼い瞳が天井を見つめる。
「そうだよ、だから将臣くんの誕生日プレゼントなんだけどね」
「この南の島で用意してくれたのか?」
「相手の誕生日だもん、贈りものくらいしたいよ」
好きな相手ならば尚更。
「女ってそういうの、本当好きだよな。で、何くれるんだ?」
視線を少女を向け、楽しげに彼は問う。
「京とか鎌倉だったらまだ用意出来たかもしれないんだけれど、ここは南の島でしょ?」
「何にもねーところだな、確かに」
だが、戦はない。
「だから色々頑張った結果なんだけれどね」
「ああ」
「……お誕生日おめでとう」
軽い音がなり、横になっていた青年の目が見開かれた。
逆に少女の顔は夕焼け色のごとき赤さ。
「いっておくけれどこれ、私のファーストキスだからね!?」
「お、おう」
「じゃ、そういうことでお風呂に入ってくるから!」
用は済んだとばかりにバタバタと立ち去る彼女を彼は目で見送る。
そして少女の耳たぶまで赤くなっていることがわかった。
一人となった青年は横になったまま再び視線を天井に向け、ふと舌で唇をなめてみた。
「……甘い」
月が白く、まんまるい。
南の島編 終了
現代編ではやられたので、こちらではやり返しました。
「いつもお疲れ様」
二人の間に言葉がゆるやかにやりとりされる。
一日の仕事を終え、夕飯を食べた後の時間。
少しでもゆっくりしようと横になる青年とお茶を用意する少女。
京や熊野から遥か離れた場所にある南の島は年中熱く、日中は耐え難いものだが、住む住人は皆穏やかで、ゆっくりとした時間が流れている。
それは源平の戦を経験した者にとって心身の癒しとなり、安らぎとなる。
南の島での生活にだいぶ慣れてきた今日、少女にとって、青年にとっても特別な日。
「ね、将臣くん」
「ん?」
両手を組んで頭の後ろに置いて枕代わりとし、目を閉じたまま返事をしてくる彼は少女の幼馴染。ずっと一緒に育ってきたからか、色々と少女の扱いが上手い。
「今日が何の日か、知ってる?」
「わからん」
「……ちゃんと考えて答えた?」
幼馴染の即答に眉をかるく寄せる。
「考えてもわからなそうだからな、だからわからんものはわからん」
「まったく将臣くんは。今日は将臣くんの誕生日だよ」
「もうそんな日なのか」
ここにきてようやく幼馴染の瞳が開いた。
海よりも蒼い瞳が天井を見つめる。
「そうだよ、だから将臣くんの誕生日プレゼントなんだけどね」
「この南の島で用意してくれたのか?」
「相手の誕生日だもん、贈りものくらいしたいよ」
好きな相手ならば尚更。
「女ってそういうの、本当好きだよな。で、何くれるんだ?」
視線を少女を向け、楽しげに彼は問う。
「京とか鎌倉だったらまだ用意出来たかもしれないんだけれど、ここは南の島でしょ?」
「何にもねーところだな、確かに」
だが、戦はない。
「だから色々頑張った結果なんだけれどね」
「ああ」
「……お誕生日おめでとう」
軽い音がなり、横になっていた青年の目が見開かれた。
逆に少女の顔は夕焼け色のごとき赤さ。
「いっておくけれどこれ、私のファーストキスだからね!?」
「お、おう」
「じゃ、そういうことでお風呂に入ってくるから!」
用は済んだとばかりにバタバタと立ち去る彼女を彼は目で見送る。
そして少女の耳たぶまで赤くなっていることがわかった。
一人となった青年は横になったまま再び視線を天井に向け、ふと舌で唇をなめてみた。
「……甘い」
月が白く、まんまるい。
南の島編 終了
現代編ではやられたので、こちらではやり返しました。
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