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好きなものをつらつらと書き綴っています。 書人:蓮野 藍         三国恋戦記の孟徳に夢中。  ボカロ(心響)SSも始めました。
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孟花です(笑)


花ちゃんの登場は少ないです。




そして、拍手ありがとうございます!!




拍手[4回]



これは夢だな。
孟徳は漠然と自覚した。
おおらかで優しい父、飴と鞭が上手い母、そして弟。
もうこの世にはいない、家族。
それらが孟徳の目の前にいた。

幼いころに戻ってるからか、視線がやけに低い。
気付いた時からある食卓の机の傷ついた角を眺め、何気なく触れてみる。
予想していた木の滑らかな感触があり、これまで夢の中では現実感があるものなのかと孟徳は感心した。
「どうしたの?吉利」
孟徳の行動が不可思議に思えたのか、
丞相である曹孟徳になる前の、幼き頃の名で呼ぶ母。
「いえ何でもありません母上」
「吉利のことだ、また兄上を困らせようと企んでるんじゃないのか?」
「まあ、そうなの?」
カラカラと笑いながら話す父に目を見開き驚きを表した母が怪訝な顔をしてこちらを見つめてくる。
そういえばかつて、自分のことを嫌ってる叔父に一芝居うったことがある。
結果としては成功したのだが、当然のことながら事はすぐ露見して母に懇々と諭された……というか説教を長時間受けた。
これに懲りて、もう二度と母にすぐ露見することはすまいと誓ったものだ。
だからもし仮に本当に何か企てていても、気付かれてはいけない。のだがこれは違う。
「違います」
「そう?ならいいけれど」
本当のことだから嘘ではない。
即答したお陰か、しばしジッとこちらを見つめていた母は信じて頷いてくれた。

「あにうえ、あにうえ!!」

部屋の向こうから軽い足音を立てて弟がやってくる。
きっと竹馬をねだってくるに違いない。
孟徳が推定する時期が間違いでなければ、この時期は竹馬に夢中だった弟だから。
外見は間違いなく子供だが、内面は丞相という肩書きを持つ曹孟徳。
竹馬なんてもう十年以上やっていない。
今では執務室で竹簡と睨めっこしている時が多くて、たまに戦に出たりするぐらいか。
要は頭を使うばかりであまり身体を動かしていない。そんな自分に果たして子供の遊びである竹馬は出来るのだろうか。
甚だ疑問だ。
「どうした」と問いながらこちらへ向かってくる人物を出迎えようとしたところで孟徳の夢は途絶えた。




「……?」
目を開けてみて、窓から差し込む光の明るさに目を細め、手をかざして影をつくった。
チリっと左耳にある耳飾りが鳴る。
ふわりと柔らかい空気が動いたのを孟徳は直観でわかった。
「おはようございます、孟徳さん」
「はなちゃん?」
「はい、花です」
横になっている自分とは違い、そばで座っていた彼女が顔を近づける。
逆光で彼女の顔はよくわからないが、口元が優しいことからきっと優しい表情をしているに違いない。
「もしかして俺、寝てた?」
寝るつもりはなかったのだが結局寝てしまい、どれくらい時間が経っているのかが寝起きの脳では動ききれずわからない。
「いえ、寝てたのはほんの少しですよ?」
「そう……花ちゃん」
コロンと寝返りを打ちながら、顔を少女へ向ける。
「はい」
「俺が今でも竹馬出来ると思う?」
「……はい?」
「いや、何でもない。気にしないで」
「はあ……」
しばし間をおいての言葉がなんだか面白くておかしくて、一人静かに笑ってごまかした。
きっと間の抜けたような、困惑した表情を彼女はしているのだろうけれど、それもきっと可愛いに違いない。
その可愛い表情を見ることができず、なんともこの太陽が心憎い。
だが孟徳はそう思いながらも、心穏やかな気持ちを久々に抱いた。
この後も仕事はあって正直言えば嫌だけれど、たまにはこういう時間を過ごすのもいい。


ふと遠くで両親と弟の笑い声が聞こえたような気がした。







終わり
孟徳さんに心穏やかな日常を過ごしてほしいです。
それを文若あたりは許さないだろうけれど^^;なんせ丞相じゃなきゃ出来ない仕事がわんさか。
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