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好きなものをつらつらと書き綴っています。 書人:蓮野 藍         三国恋戦記の孟徳に夢中。  ボカロ(心響)SSも始めました。
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ということでまたしても孟花。

といいつつ、今回は孟徳ED後でも二人の間に娘が生まれています。



今回は父の日ということで、大きい花の写真付きです(笑)



いつも拍手ありがとうございます!!





拍手[2回]



今日は父の日というものだから、出来る限り返ってきてほしいという愛妻の花に言われていた。
いつもより真面目に仕事を終わらせ、王佐からの追加の仕事が来る前に執務室を後にする。
急ぐ心のままに家族がいる部屋に足を進ませ、誰に扉を開けさせることなく自分で開いた。
「ただいま」
「お帰りなさい、おとうさま!」
もう少しで就寝の時間のはずだったのに我慢して起きていたのだろう。
妻にそっくりの顔をした愛らしい娘がこちらに小走りでやってきた。
そしてそのまま此方へと抱きついてくるのを抱きとめ、抱き上げる。
それが嬉しいのか、はたまた父が返ってきてくれたのが嬉しいのか。少女は実に楽しげに笑って父親に腕をまわしながら声を上げる。
いつもは娘が夢の住人と化してる時くらいの帰宅なので、こうして娘が起きている時に帰宅出来るというのは稀だった。
だから、帰宅して娘の笑顔が見れるというのは孟徳にとって凄く嬉しいし、心が安らぐのを知った。
疲れが吹っ飛ぶとはこのことだ。
「お帰りなさい、孟徳さん。お仕事お疲れ様です」
「ただいま花ちゃん」
ゆっくりとした足の運びで花がこちらにやってくる。
この妻と結婚して何年も経つが、この正妻はいくつになっても可愛いし愛しい。
妻にだけみせる甘い顔で微笑みかけ、頬に口付けると彼女の頬がほんのりと赤くった。
そしてお返しに頬に愛らしい音を立てながら頬に口付けてくれる。
夫婦の関係となってからずっとやっている挨拶の一種。
「とうさま、私にも!私にもちょうだい!」
「はいはい。なら、とうさまの頬にくれるよね?」
「うん!」
チュッと愛らしい音と一緒に頬に送られる娘からの挨拶。
それに続くように孟徳も娘へと優しく額に口づけた。
「本当にお父様が好きなのね?」
仲の良い親子の様子に微笑ましく花が話しかけると少女は元気よく頷いた。
「うん!大きくなったら、おとうさまみたいな人と結婚するの!!」
「本当に?嬉しいな」
娘に嬉しいこと言われて笑顔通り越してデレデレ顔になっている。
最早この男が丞相だとは誰も思わないに違いない。
正直な娘が嘘をつくことはない。人の嘘がわかる夫だから、本当の言葉に嬉しくて仕方ないことが妻の花にもわかった。
そして花は思う。
もしこの場に文若がいたら、間違いなく顰めっ面になっていただろう。と。

「お父様に何か渡すものがあるのではないの?」
「あ、そうだった!おとうさま、一回おろして?」
母に優しく言われ思い出したのか、父に一旦床におろしてもらう。
そして傍にいた侍女から渡してもらったものを手に、再度孟徳の元へやってきた。

「おとうさま、いつもお仕事がんばってくれてありがとう!」

言葉とともに手渡されたそれ。
一本の白い花だった。

「ありがとう、嬉しいよ。これは芍薬だね」
「今日咲いたのをもらいました」

治める国が大きければ、比例するように政治を行う場所も広いし庭も当然ながら広い。
今の時期、何の花が咲いてるか大まかなものを孟徳はわかっていても、庭のどこあたりに咲いてるかを全部把握しているわけではない。
きっと母子との散策で見つけたのだろう。

「本当は赤が良かったんだけど、なかったの」
「いいよ。見事な花じゃないか」

赤といえば孟徳が象徴とする色。貴色。
だから赤を探したに違いないが、なかったのならどうしようもない。
先ほどとは違い、しょんぼりとする娘の頭を優しく撫でる。
今が盛りと咲き誇る白い芍薬の花を顔に近づけるとほんのりと甘い香りが漂ってくる。
上品さがある香りは嫌いではない。

「今度の休みにどこにあったか教えてほしいな」
「いいよ!凄く綺麗なの!!ね、おかあさま」
「そうね。孟徳さんにも一度は見てもらわないと」

「じゃあ頑張って仕事して、芍薬の花の季節が終わる前に休日をもぎ取らないとね」
「うん!」

孟徳の言葉に娘が大きく頷いた。







翌日



「丞相」
「なんだ?」
いつも通りの眉間に皺を寄せた表情で呼ぶ部下に顔を向けると、それだけで部下の皺は更に深くなった。
「その締りのない顔を引き締めて下さいますよう」
「無理」
即答する回答する上司の言葉に目の前の人物の皺がより多く、深くなり、たまたま決済の印を貰いにきていた元譲は深いため息をついた。
「娘からもらった花束だぞ。嬉しくないわけないし、飾っておきたいだろ」
「それはどうぞ丞相のお好きになさって下さい。ですがここは執務室ですので」
真面目な顔で仕事をしろってことか。孟徳は悟った。
「何度も言わせるな。無理」
昨夜もらった愛娘からの花束を机の上に飾り、竹簡を片付けつつ時折芍薬を眺めていた丞相は言いきった。
「丞相!!」
この日も文若の雷が曹孟徳の執務室に落ちた。

今日も孟徳率いる国は通常運転。












終わり
丞相と愛娘との話。
でした。
芍薬は中国原産なので物語上問題ないのです!




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