好きなものをつらつらと書き綴っています。
書人:蓮野 藍
三国恋戦記の孟徳に夢中。
ボカロ(心響)SSも始めました。
まんまるい月。
どこからどうみても円を描いた月が空に浮かんでいる。
その下で孔明は竹簡に目を通していた。
竹簡といっても内容は仕事ではなく、各地から寄りよせた情報がつづられているもの。
文字を目に通せばその内容が頭の中に蓄積され、その情報を基に物事を考える。
実際に目で見て感じることも大切だけれど、劉玄徳の元で軍師となってからは、そういう自由な事は出来ない。
といってもそれまで誰にも仕えてなかったからお金もそんなに自由自在に使えるわけでなかった。
やろうと思えばなんとかやれるだろうと思ってたけれど。
孔明は思う。
どんな時でも竹簡は真実を教えてくれる、孔明にとって知識の源でもあった。
いつからこんなに竹簡を読むようになったのだろう。
そう思いながらかつて自分が小さく何も出来なかった時を思い出した。
山の中で出会った不思議な女性。
そして半ば無理やりその女性のあとをくっついていき、ある時自分の目の前で急に消えていってしまった。
天女のように綺麗ではないけれど飾り気がなく、率直で人に媚びない。
その人が乗せる言の葉は、実際その通りにすればその通りになり、天の使いだと思ったのだった。
消えてしまった女性にまた会いたくて。
彼女の横に立ちたくて。
肩を並べたくて。
孔明はその後情報を収集しつつずっと彼女に竹簡をしたためた。
あの時からか。
ふと視線を上げて孔明は月を見つめた。
微かに吹く風が孔明の黒い髪を軽く撫でていく。
ずっとずっと欲していた月のような、手の届かない存在。
だけど、月のように優しく照らしてくれる女性は今自分の手元にいる。
「師匠ー?」
彼女の声が聞こえ、孔明は振り返った。
「花?こっち!!」
腰を上げ、彼女の元へ足を向ける。
それを月はじっと見つめていた。
終わり
うーん、ありきたりな終わり方、かな。
師匠と会った花ちゃんは、月の明かりを頼りに竹簡を読んでた師匠に「師匠、目を悪くしますよ?」と一言いってほしいです。
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