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好きなものをつらつらと書き綴っています。 書人:蓮野 藍         三国恋戦記の孟徳に夢中。  ボカロ(心響)SSも始めました。
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書きたかった花孔明と亮くんの話。
といいつつ、女好きなあの方が出張ってますし、その方の視点となります。


珍しく短いです。





拍手[7回]





一人の男が街中をぶらぶらと歩いていた。

各役所から運ばれてくる書簡を決済するも決済するも次々と新しい書簡が持ってこられ、
いかにこれが仕事といえど嫌になるというものだ。

適度に切り上げ、庶民の姿に化けて街中に出てきたのはいいものの。
この前街中に出た時に治安などを見て回った為に、やるべきことは特にない。

さてどうしたものか。
と男は鳶色の瞳をキョロキョロと見回し、ある人物に目がいった。

自分と同じような茶色い髪を一つにまとめ、桃色の羽織を身にまとった一人の女性。
旅で来ているのかもしれないが、女性一人での旅は危険すぎるし、護衛を雇っているとしてもその姿が近くにない。

失せもの探しをしているのか、店先にいる人物に手を動かしながら話しかけている。
だが問いかけられた方の答えはいいものではなかったのか首を横に振られ、彼女は肩を落としながら頭を下げてその場を去った。

一人で探すより二人で探すほうが効率がいいのは子供でもわかる話。
協力しようと男が彼女に声をかける為に足を進み始めたところ。
少し高めの声が耳に届いた。その声に反応する彼女の肩。
女性が向くと同じ方向に顔を向けると、10歳にいくかいかないかくらいの少年が小走りで彼女のほうへやってくるのが見えた。
「亮くん!どこに行っていたのです」
彼女の口から発せられる言葉から、どうやら失せものは子供だったらしい。
女性のものへやってきた子供と彼女を見つめると一見、姉と弟のようにみえる。
だが実際はそうではないようで子供は「師匠が先に勝手にいなくなったんじゃないですか」
とのたまった。

どうみても子供が先にいなくなったような気が男はするのだが、それはさておき
少年の『師匠』という呼び方で二人は師弟なのだとわかった。
女性が少年の何の師なのかわからないが、女性の手に羽扇を持っていることから楽師ではないのは確か。

「何も言わなくても弟子は師の傍から離れずくっついて歩くものです。口答えしていると講義はもうしてあげませんよ?」
「それは嫌です」
「だったら、言う言葉がありますよね?」
「……ごめんなさい」
「よろしい」

一通りのやり取りが終わり、女性が少年に手を伸ばした。

「もう日が暮れてきましたから、夕飯にしましょう」

子供がさしのばされた手を握り、歩き出した師に続くように足を動かす。
偶然にも行く先はこちらで、少しでも長く会話を聞きとろうとゆっくりとした足取りで男は進め始めた。

「今夜は雑草食べませんよね?」
「ここは栄えた街。しかも曹孟徳のお膝下ですから雑草は出しませんよ、多分」
「げ、雑草出たら嫌だな」
「亮君、この世に役に立たないものなど一つもありません。このあたりに生えている草もしかり。知をしっかり覚えて使用すれば食べることは勿論、薬にすることも毒にするも出来ます。それを覚えておきなさい」
「……はい」
「また同じ話が始まったとでも思ってませんか?」
「……少し思いました」
「素直でよろしい。そんな亮君に……」

いつしか男と、弟子と手を繋いで歩く女性は行きかい、微かに袖が触れあうもそのまま過ぎ去っていった。
女性が纏う優しげな香りがふっと微かだが男の鼻をくすぐる。
縮まった距離が今度は徐々に遠ざかり、二人の声も少しずつだが小さくなっていく。
男が立ち止り、振り返って二人の背を見つめるも当の本人達は気付かないまま。
それでも男が見つめていると、ふと少年がチラリとこちらを向いた。

黒い髪と、髪と同じ色をした大きな瞳。
こちらの真意を探るようにジッとこちらを見たかと思ったら彼女の方へ顔を戻し、つなげている手を両手で握り直し、先に行こうと彼女の腕を引っ張る。
師は自分だけのものだと言わんばかりだと男は感じた。

「可愛くないガキだな、君の師は可愛いけど」

二人が見えなくなるまで男はその後ろ姿を見送る。
自分と親子ほどに歳が離れた子供に挑発されたようで苛立つ心とは裏腹に、男は楽しげに小さく笑った。

「そうだ。君の師匠、奪っちゃおうかな」

我ながら良い考えではないだろうか。
あんな可愛くない弟子では彼女が大変だ。

そうと決まれば話がはやい。
仕事場であり住処である居城に戻るべく、男は歩き始めた。
その道すがらどの店にも目をやらず、これからのことを脳内でフル回転で計画しながら。
























いったん終わり

亮君と孟徳は犬猿の仲だと思ってます。
今のところ亮君が一人占めにしてる花孔明を奪おうと、孟徳さんが動くのが次。のはず^^;
カッコイイ孟徳さん、少しは書けたかな。次回書けるかな。そわそわ。
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