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好きなものをつらつらと書き綴っています。 書人:蓮野 藍         三国恋戦記の孟徳に夢中。  ボカロ(心響)SSも始めました。
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拍手をいつもありがとうございます。


PCを触れる日と触れられない日が極端にあり、いつも書くのが遅いのにそれより更に遅い文章の書く速さとなっています。

これ以上は流石に皆さまに申し訳ないので、

急きょ別のを書きました。

といっても、今回は花孔明ではなく花文若です。


それほど長くはありません。








拍手[6回]




「ではこれをお願いします」
「はっ」

書きあがったばかりの竹簡を部下に手渡し、退出する際いつもより幾分頭が下がっている部下を見て見ぬふりをし、文若は次の未処理の竹簡に手を伸ばした。
国の為に日々身を粉にして働きつつ、上司とした人物が丞相という皇帝に次ぐ地位についた。
それからはというもの仕事の量が必然と増し、忙しさも倍近くに増したものの充実した日々を送れて満足だった。

一部を除いては。



「文若」

背後から聞こえる声は幻聴だ。
サラサラと川が流れるが如く筆を動かしてそれを無視する。


「ぶーんーじゃーく」

これも幻聴。
更に背後から身体を拘束するようにまわっている腕も。暖かさも。
全て幻。
そう思い込んで筆に墨を浸し、再度竹簡へ筆を走らせる。

「いつもつれないな、文若は」

言葉が終わると同時に乾いた音と柔らかい感触が頬に伝わる。
何が起こったかすぐさまわかり顔全体に顔が赤くなるのを文若は自覚した。
これ以上の無視は出来ずに筆をおいて後を振り向いて叫べば、そこにあるのは輝いた嬉しげな顔。

「丞相っ!!」
「やっと振り向いた」

パアッと効果音をつけてもいいくらいの笑顔に思わずひるみそうになる。

「今、私は仕事をしています。それをわかっていただけてないのですか」
「いくらなんでも見ればわかるよ」
「私が処理した竹簡そのまま丞相のところへ行きます。私の分だけはないのですよ」
「それもわかるよ、だからここにいるんじゃないか」

心外だと言わんばかりの表情の彼に疑いが文若の心に生まれた。

「なぜでしょう。ここは私の執務室であって丞相の執務室ではありませんよ」
「そうだね」

第一彼がこの部屋に来てからというもの、背後に張り付いてばかりで筆を持つという動作を一つもしていない。
ではなぜこの部屋にいるのか。


「なんで俺がこの部屋にいるのか、気になる?」
「はい、気になります」

腐っても彼は頭が切れる丞相なのである。
その男がわざわざこの部屋に来るということは何かの事情があるはずであり、わざわざ仕事を邪魔するという行為は出ない。
はずである。
そう思い、素直に頷けば満足そうに返ってくる応の答え。

「じゃあ教えてあげるよ」
耳を貸して、という彼の要望通りに耳を傾ければ彼の顔が近付き、吐息が耳元にふきかかる。
くすぐったさを感じるそれを我慢し、彼の言葉を待つ。

赤き覇王は言った。

「仕事は飽きたし、俺の執務室にいるより文若のそばにいるほうがいいじゃないか」

そう言って離れた男の顔を見れば楽しげな顔。

その表情に文若は頭の奥でブチっという音を確かに聞いた。






「丞相っ!!」















終わり。

いつも通りの普通からみれば普通じゃない孟徳軍の『非』なる日常でした。
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