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好きなものをつらつらと書き綴っています。 書人:蓮野 藍         三国恋戦記の孟徳に夢中。  ボカロ(心響)SSも始めました。
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つい三作目に。

三国恋戦記で孟徳×花。

ED後で、季節は冬となります。





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彼女の訪れに、いつも通りの文若からの至急書簡だろうと孟徳はふんでいた。
だが実際にそうではなく、白い物体をお盆の上にのせてやってきたのだった。
丸み帯びた白い塊に赤い目、葉っぱで耳をかたどったそれは見たことがないもの。

「花ちゃん、それは?」
「雪うさぎです」

そう少女は笑顔でのたまった。



「ゆきうさぎ、ということは雪で出来てるんだね」
「はい、この季節だからこそ出来る遊びの一つなんです」
孟徳さんに見せたくて、とお盆ごと手渡された時、少女の手が赤くなっていることに気付いた。
そして少女を自身をみてみれば、頭や肩が若干濡れている。
「花ちゃん、雪にどれくらい触れてたの?手が赤い」
書き途中の書簡を腕でどけて空いた空間にお盆を置き、花の両手を両手で包み込む。
自分の体温で少しでも少女の冷たい手が温まるように。
思いを込めて花の手に息を吹きかける。
「触ったのは少しだけですよ。ただ、ここの雪は固まりづらくて苦労しただけで……」
サラサラな雪で雪うさぎをつくるのが、あんなにも大変なことだとは思わなかった。
愛する人から息を吹きかけられ頬を赤らめ、困惑しながら答えた。
途端、孟徳が纏う雰囲気が変わるのに花は気付かない。
「……元の世界では、雪の質が違ったの?」
「はい。……といっても地域によって違うんですけど、私が住んでたところでは水分を多く含んでましたね」
思えばここは海に全く接していない陸地で、海から運ばれてくる水気も日本とは違い、少ないはず。
だとしたら雪がサラサラなのは当然のことだった。と花は今更ながら知った。
「孟徳さん、この雪うさぎの目と耳、なんの植物で出来てると思います?」
「ん?この季節だと、南天じゃないかな」
手だけでは足らないと思ったのか、孟徳は少女を抱き寄せて自分の膝の上に座らせ、背後から抱きしめている。
もはや仕事は放棄で、これを文若がみたら苦虫を何匹噛んだような顔をするだろうか。
「正解です。じゃあ、南天の意味は知ってますか?」
「南天の意味までは知らないな、花ちゃんは知ってるの?」
「はい。大昔ですけど、小さい時に祖母に教えてもらいました」
そういって少女は話し始めた。
南の天と書いて南天。なんてん。
これを違う漢字で書くと『難転』。

難を転じて福となす。

「どんなに寒い冬の季節でも身をつけるから、どんなに厳しい状況でも頑張れば良いことが起こるんだよって、祖母は言ってました」
「へえ、そんな意味があるなんてね」
「だから、いつも忙しい孟徳さんですけど、いつか良いことがありますようにって雪うさぎに願いを込めてつくったんです」
「俺の為に?」
「勿論です。ですから、このこが解けるまで出来たら暫く置いておいて欲しいな……と…」
「花ちゃんっ!!」
手だけではなく今度は顔や耳たぶまで赤くし、しどろもどろ話す少女の初々しさに孟徳は力強く抱きしめた。
可愛すぎるではないか。
「ありがとう花ちゃん、大切に飾らせてもらうよ」
「本当ですか!?」
「嘘じゃないさ。前から言ってるでしょ?俺は嘘はつかないって」

嬉しさに顔を輝かせる少女に孟徳は優しく笑み、花の頬に口づけた。
途端、赤い花の顔が更に赤くなったのはいうまでもない。












終わり
これを書きたかったんです!!雪うさぎ!!!

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